Mana kunchi no heya
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文章書き、食べ物、写真、脳性まひ、希望、夢、前向き、介護職員、ヘルパー、電動車いす、散歩、パソコン、ホームページ作成、ラーメン、うどん、握り寿司、長野県、喬木村、不自由さのないマイナス面をプラスに持っていく生き方のページです。


 子ども本を読まないのに なぜ書けるの? 子ども

 2023年9月

かえるとおたまじゃくし令和5年、平年より遅い6月14日に入梅し、7月23日に暑い夏がやってきた。マスメディアが騒いだ、梅雨明け最速という6月下旬の予想が見事に外れた。この時期は湿度が高く、蒸し暑く不快になる。ちょっと身体を動かしただけで、下着はびしょびしょ。汗かき屋の証明か。いち早く目をつけてくれたのは、デイサービス・スタッフのみなさん。「暑いですか?」と、こちらに向かって声がする。自分が横になっていたベッドは、たちまちシーツが取り除かれた。背中から出る汗が、しみ込んでしまったらしい。


こればかりじゃない。電動車いすに乗っていても、額から首にかけてしずくが、ぽたり、ぽたりと落ちていく。午前中に頭の体操として、個別に行われる塗り絵などをやろうとすれば、汗という名の土砂降りの中だ。ハンせん風機カチは持っていないし、テーブルに設置されたティッシュペーパーを使うか、手でふき取るしかない。6月最初のころは、デイルームの風通しが不十分な様子で、汗を流すスタッフの姿を見かける。天井に備えつけた、いくつもの扇風機が回りはじめたのは、それからまもなくのこと。幾分、汗も峠を超えたらしく、さわやかな気分になれたが、相変わらないわが身の汗腺である。戦後、保健衛生の面から安心して出産ができる施設が、役場隣りに完成。この地が、デイサービスの前身である。いまでは母子でなく、村の社会福祉協議会が運営する、身近な介護サービス施設の一つとして位置づけられた。間違いなく、高齢者社会の到来を見せつけている。


肩関節48歳の冬、思わぬ事故に遭った。ちょうど、障害者専用駐車スペースに、軽トラックが見えたので、一瞬考えた。「寒くて身体がコチコチで、歩くのが大変だから、軽トラのそばに、愛車を横づけしよう」。この判断が運命となってしまった。とっさの瞬間だった。クルマから降りてバランスを崩し、路面に倒れる。軽トラの後輪が、左側の肩をかすめていく。医師の診断書は「左肩甲骨骨折」であった。相手方を、心から許すことはなかったが、大きな試練となったのは確かだ。失くしたのは愛車で、デイサービスの利用が得たものである。村役場の配慮があって、障害福祉サービスの通所介護として、59歳までデイサービスへ通う。再び、足を踏み入れたのは2年後で、介護保険を活用した利用となった。自分が通いはじめた15年前の利用者が、1人ないし2人はいるかもしれない。もしかすれば、65歳以上の第1号被保険者や特定疾患による第2号被保険者であれば、もっと多いことになるかも。


血圧計「おはようございます」。その日のリーダーがお茶を持ってくる。体温計と血圧計を持ち歩く、看護師さんの姿が見えた。白衣恐怖症ではないけど、緊張のため落ち着かないと、正確な値が出ない。が、近ごろは筋弛緩剤の服用から、難儀を逃れてきた。爪切りも慣れてきて、きれい切ってもらえる。「水っぽくって、何を食べているのか分からない」「蒸しパンはダメだから、おやつはゼリーにしますね」。不愉快な言葉に、約1年間迷わされる。普通食ではなかった。担当の介護支援専門員さんから話してもらったおかげで、デイサービスに対する意識が変わっていく。お昼の献立表を見るが楽しくなる。以前のうまい、お昼の味を手にできた。


ポーリングみなさん、デイサービスを楽しみにしているように見える。ボールを転がし小さな穴に入れるコロコロゲームは、9月中旬にスタートした。卓球を参考したミニホッケー、ボーリングゲームならペットボトルがピン代わり。ほかに、木製の魚類を獲る魚釣りや団扇でハエたたき、正月はかわいい顔をした坊様ばかりの、特製坊主めくり、すご六ゲームが定番であり、どれもお昼休みのあと行われるレクリエーションだ。紙芝居や本の朗読を、図書館職員がきて楽しませてくれるときも、同じ時間帯の開演となる。


お風呂スタッフとの会話が、中心となっている。朝刊を手にしていれば「どこを見ているか」と、のぞき込まれてしまう。家まで送ってもらうときの、決まり言葉がある。「ピッー、ビッーという音がします」と、キッチンの冷蔵庫を見たり、何やらごたごた模様だ。スペースが限られたお盆に、自分が食べ終わった食器を上から重ねていく。そうすると「クスッ」と、笑い声が聞こえた。「何がおかしいだ」。思わず、声に出してしまった。平たくいえば、ふれ合いが豊富だと思う。入浴はいまの季節、週に3日、機械浴を利用している。汗かき屋の身には、ありがたい。横になったままで湯船に浸かるとは、極楽だろうか。最初のころは、手すりにつかまって、一般風呂に入っていた。足腰が弱くなり、危険防止を踏まえ、ある日から専用椅子に座って、浴槽に入るようになる。やっぱり、寝たままじゃ、気持ちがいまいちだ。もう一度、専用椅子で入浴したい。


帰宅すると、ベッドへ横になるという、ケアプランの設定となっている。1時間少しのタイムだけれど、寝たきりの身ではないので、ヘルパーさんがくるのを、電動車いすに乗って待っていたい。これについては、近々予定されているサービス会議で、訪問介護と通所介護の担当者にお願いしてみたい。「地域での生活を重視したい」。介護保険で示したこんな目標の下で、再びデイサービスの門をくぐった。通所が可能な限りは、お世話になりたいと考えている。


ピンマイク「リーダーさんが使っている拡声器の、マイクをお借りします。利用者の皆様、この未熟な者を末永くよろしくお願いします。朝早くから出勤のスタッフには、頭が上がらないのが本意です。いままで通りの、おつき合いをお願いします。ありがとうございました」。以上、デイサービスの巻は、ひとまず終わり。

2023/09/29

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